土地や建物を売ったときに収益が出ると、「譲渡所得」として所得額に応じて課税されます。
課税額はほかの所得と分けて計算され、納税のタイミングも何回かあるので、給与所得などと比べて難しく感じている人も多いでしょう。
今回は、不動産売却で得た譲渡所得に対する税金の概要や算定方法について紹介いたします。
不動産売却における分離課税とは何か
分離課税とは、給与所得や事業所得などの所得とは区別して算定する課税方式のことです。
不動産の譲渡所得は数千万円単位になることも珍しくなく、これを通常の給与所得などに加算して課税すると非常に高額になってしまう可能性があります。
通常所得と分離して課税することで、税負担の緩和が図られているのです。
不動産譲渡所得に対する税金は確定申告で納税するので、「申告分離課税」とも呼ばれます。
分離課税であっても損失が出た場合は、通常の所得に加算することが認められています。
所得から損失を差し引くことで、納税額が抑えられるのです。
これを「損益通算」と言います。
もし損益通算しても当年で損失が控除しきれなかった場合は、売却後3年間は損失を繰り越すことが認められています。
これが「繰越控除」です。
不動産売却における分離課税の計算方法
課税対象の譲渡所得は以下の計算方法で求めます。
課税譲渡所得=譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除額
算出した課税譲渡所得に対して「所得税」「住民税」「復興特別税」が各々所定の税率で課税されます。
税率は、5年を超えて所有していた物件の売却所得は「長期譲渡所得」、5年までの所有物件の売却は「短期譲渡所得」として区分して定められています。
長期譲渡所得の場合、「所得税」「住民税」「復興特別税」の税率はそれぞれ15%、5%、0.315%です。
短期譲渡所得の税率は、「所得税」30%、「住民税」9%、「復興所得税」0.63%です。
自宅の売却では、3,000万円までの特別控除が受けられます。
課税譲渡所得が3,000万円に満たなければ、全額が控除されるのです。
物件を取得した際の費用がわからない場合は、譲渡価額の5%を取得費とみなします。
取得費が譲渡価額の5%に満たない場合も、譲渡価額の5%が取得費になりますので留意しておきましょう。