住宅ローンが残っている状況で住宅を売却した場合に、必ずしも売って得をしないケースがあります。
不動産を買ったときよりも値下がりが発生して売却損が発生してしまい、さらに住宅ローンが残っているとマイナスが大きくのしかかります。
実はそんな人を救う特別な軽減措置があるのです。
今回はローンが残っている状態で住宅を売却し、売って損が生じた場合の他の控除との併用について解説し、譲渡損失が生じた場合の課税について言及します。
住宅ローンが控除と売却損による控除の併用について
住宅をローンで購入し諸事情で手放さないといけない人の中で、買ったときよりも値下がりして売却損が発生してローンと予想外の損も重なり二重苦に陥るケースがあります。
そんな人に知ってもらいたいのが住宅ローン控除や他の措置の併用についてです。
マイホームを売却したときに5つの特例がうけられる可能性がありますが、売却損が発生している場合の特例は以下の2つです。
措法41条の5の『居住用財産買換え等の場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除』と措法41条の5の2『特定居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除』が譲渡損が出た場合の特例となります。
まずこの住宅ローンの措置とは所得税と住民税が毎年10年間も差し引かれる優遇措置であり、居住用財産買換え等の場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除と重複適応が可能となっています。
こちらの制度は発生した売却損を3年繰り越してその年の所得から差し引く措置で、取得期限が譲渡の年の前年1月1日から翌年12月31日までとなっています。
ただし、2021年12月31日までの売却が対象となっているので急ぐ必要があるでしょう。
住宅ローン控除と譲渡損失や売却損が生じた場合の課税について
譲渡損失が発生した場合はプラスになっていないので所得税や住民税、復興特別所得税といった税金はかかりません。
むしろローンがあった場合は売却損を3年繰り越してその年の所得から差し引く特殊な措置を受けることができます。
ただし、繰り越す場合は所得よりも譲渡損失が大きい場合なので注意しましょう。
たとえば譲渡損失が1,000万円発生して所得が400万円の場合は、売却した年はマイナス600万円となるため課税がゼロとなり翌年に繰り越しになります。
2年目は所得400万円に繰り越した譲渡損失600万円を引いてマイナス200万円となりまた課税ゼロです。
3年目は所得400万円に繰り越した譲渡損失200万円を引いて200万円となり、この200万円が課税対象となります。